こんにちは
今日はスポーツ選手に多い半月板損傷についてです
半月板損傷が疑われる症状
膝の痛みや、それに関連する症状として、以下のような特徴が見られる場合は半月板損傷が発症している可能性があります。
- スポーツなどで膝を強く打ったり、激しく動かしたりねじった時に、膝に強い痛みを感じ、それから痛みが続いている
- 膝が引っかかったような痛みを感じる
- 膝に力が入らない感じがする
- 膝の曲げ伸ばしができない(ロッキング状態)
- 膝関節部がはれて膨らんでいる(関節腫脹・関節血腫)
ひざに体重がかかる時やひざの曲げ伸ばしをした時に痛みが見られ、その他、膝関節の動きに違和感がある、うまく動かない、一定以上に曲げ伸ばしができないといった関節運動の制限、可動域の狭まりが見られるのが特徴です。
太ももの筋肉「大腿四頭筋」の筋力低下や萎縮などの症状が見られることもあります。
傷ついて裂けた半月板が何かの拍子に関節にはさまることで、膝の曲げ伸ばしができない「ロッキング現象」が起こります。加えて激痛で歩行困難になる場合もあります。
ロッキングは骨のかけらが挟まってもすぐに解除される場合もあり、「偽ロッキング」や「キャッチング」ともいいます。
半月板損傷とは/特徴と原因
膝の関節の内側と外側に1個ずつある三日月型の軟骨組織です。
膝は体の中でも特に体重による負荷が大きくかかる箇所で、
【損傷の原因】
片方の足に体重の10倍以上の負荷がかかることもあります。そのため半月板にも大きな力が加わります。
半月板損傷は、急激な動きや無理な体勢をとって膝を酷使したり、
強く打ち付けた時に、吸収しきれないほどの負荷がかかることで半月板が欠けたり断裂した状態を指します。
運動中の膝のケガで多く発生するため、急性のスポーツ外傷に分類されています。
サッカーやラグビーで走りながら急激に方向転換をしたり、
野球で捕手が膝を深く曲げた姿勢から送球をするときなど、
多くは膝が無理にひねられたり伸ばされたときに起こります。
若い人に比較的多い傷害で、外傷によるものが殆どですが、
加齢によって半月板の負荷が蓄積して切れるケースもあります。
この場合、長い時間をかけてゆっくりと切れていくため、痛みもゆっくりあらわれます。
膝の関節を外側に曲がた時はひざの内側の半月板が、
膝の関節を内側に曲げた時は外側の半月板が損傷します。損傷した位置によって治療法も変わってきます。
【半月板損傷で膝に痛みが発生するメカニズム】
半月板は一度損傷した箇所が再生することはありません。
損傷によって半月板の衝撃吸収力が弱まると、
膝を支える力が弱くなり普段の生活でもひざへの負担が大きくなり、
負担が蓄積して関節軟骨がすり減りやすくなります。
すり減った骨のカスや、ケガの際に裂けた半月板が周囲の組織を刺激して炎症を起こしたり、
関節に挟まることで痛みが発生します。
【半月板損傷が発症しやすいスポーツ】
野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、テニス、ラグビー、スキー、格闘技など
半月板損傷の診断・治療・予防
ひざのMRI画像
【診断】
問診、触診で痛みや関節の動きの状態を確認することで、ある程度半月板損傷の可能性は分かります。
X線撮影(レントゲン)やMRI検査などの画像検査で骨の状態を確認して最終的な診断を下します。破損した半月板の状態をより詳しく調べるために内視鏡検査を行うこともあります。メスで膝に小さな切り込みを作り、関節鏡と呼ばれる光ファイバーを使った小さなカメラ差し込み、モニターで状況を確認します。
補助的に関節液の調査を行うこともあります。関節液は通常は無色透明ですが、関節に炎症が起こると色や状態に変化が現れます。関節液に血液が含まれているケースは、半月板損傷や靭帯損傷など、膝の怪我によるものがほとんどです。
内視鏡を使った手術
【治療】
治療は損傷した部分の修復と安静が基本で、半月板の破損の状態に応じた治療法が採られます。破損が軽度で症状が軽ければ手術を行わず、保存療法で対処します。
多くは保存的治療で症状が軽快します。軽症であれば、装具やテーピングなどの補助補強、疼痛軽減目的でのリハビリテーションを行います。初期には局所の安静、関節穿刺〈せんし〉による関節液の吸引、局所麻酔剤やステロイド剤(消炎効果)の注入、最近ではヒアルロン酸注射を行います。また、筋萎縮予防や疼痛の軽減を目的として、大腿四頭筋、膝関節周囲の物理療法(電気刺激)も実施します。
膝が伸ばせないロッキングなどが見られる場合は、破損した半月板を縫合、または切除する手術が行われます。
手術は内視鏡を使った「関節鏡下郭清術」が良く行われます。体にかかる負担が少なく、ひざを大きく切開しないですみます。手術時間も1時間前後と短く、入院も1週間程度です。
半月板を取り除いても日常生活にはほとんど支障がなく、術後1,2ヵ月で軽い運動ならできるようになります。
一度欠損した半月板組織が再生することはないため、半月板を完全に元通りに戻すことはできないというのが現状です。しかし近年になって、自分の膝の滑膜組織からとった幹細胞を使って半月板を再生させる治療法が日本で開発され、現在臨床研究が進んでいます。近い将来、半月板の再生治療が実現する可能性が高まっています。
【予防】
半月板損傷のほとんどは急性のケガのため完全な予防は難しいですが、スポーツ中の膝への負担を減らして怪我の確率を下げることです。膝以外の股関節など使った動きを習得したり、足だけでなく腹筋や背筋、体幹(体の中心部)のインナーマッスル(深層筋)を強化したりするなどの方法も有効です。
次に慢性的な半月板損傷をもつ選手のコンディショニングについて説明します。
慢性例の特徴として、大腿四頭筋の萎縮がしばしば見られます。筋萎縮があると、患部の痛みだけでなく、筋力低下を原因とする膝痛や関節水腫などが現れ、それらがまた筋萎縮の原因となり悪循環に陥ってしまいます。
また、膝関節周囲筋の筋力もアンバランスになるため、膝関節の安定性の低下も起こります。さらには患側をかばうことにより、無意識に健側に荷重が偏り、健側に二次的な問題が起こる場合も考えられます。したがって、日常のコンディショニングは、大腿四頭筋を中心とした筋力強化が重要です。以下に、筋力トレーニング時のポイントを挙げます。
内側広筋のトレーニング
大腿四頭筋のなかでも内側広筋の強化が重要です。伸展位で数秒その位置を保持する方法(写真A(1))や、伸展動作をやや外旋する方法(写真A(2))で行います。
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フォームのチェック
側で支持するような動作やスクワットでしゃがみ込んでくる際など、トレーニング動作のなかで膝関節の位置がブレないようにします(写真B)。特に、手術で半月板を切除した場合は関節面の安定が損なわれ、内反または外反の動き(左右のブレ)が強くなる傾向があるので注意が必要です。フォームは、選手自身が鏡を見てチェックすると効果的です。
荷重バランスのチェック
患側をかばうため、無意識に健側に荷重が偏る場合があります。このような荷重のアンバランスは、バランスディスク(ボード)に乗ってスクワットを行うことによって修正できます(写真C)。また、このトレーニングは膝関節の安定を向上させる目的でも行います。
動作を組み合わせたトレーニング
スクワットを行う際に、股関節の外転や内転動作を組み合わせます。このような、複合的な筋力発揮は膝関節の安定やスクワットのフォームづくりに有効です(写真D)。外転は大腿部にチューブを巻いて(写真E)、また内転は大腿部にボールをはさんで行います(写真F)。
患部の状態に応じて、非荷重位と荷重位とに分けて行います。痛みや筋力低下(筋萎縮)がある場合は、非荷重位から始め、徐々に様子を見ながら部分荷重、全荷重へとトレーニング強度を高めます。
以上は半月板損傷に対する知識と、一般的なリハビリ方法です。
当院では数々のアスリートの治療経験による独自の治療法を行います。
ただ痛みを取るだけではなく、インナーマッスルアウターマッスルまで効率的にトレーニングさせることが出来る、プロアスリート御用達の特殊な周波数の電気治療器を使用。
(筋肉のよけいな緊張感も取り除くことができるので、固まった関節可動域もしっかりとアップします。)
高精度体組成測定器での全身の筋力量・バランスなどをコンピュータ診断。
(痛みの原因、プレーのクセ、自分の弱点などが明確に分かります。)
フットプリンターで足裏のアーチのバランスや、立ち方、動き方など細かく分析し、故障にいたった根本的な原因も探ります。
そのうえで、次にまた故障することの無いように、治療・トレーニング・コンディショニングを行います。
半月板損傷後の競技復帰に不安がありましたら、1度ご連絡ください