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柔道のスポーツ傷害・外傷について
2019/08/06
その他の痛み

こんにちは!

今日は柔道におけるスポーツ傷害につて解説していきます。

柔道は、相手を投げ、首を絞め、体を固め、関節を極めることで勝敗を決めるスポーツであるため、非常に傷害の発生率が高いといわれています。

受傷するときは技をかけにいくよりも、受け手にまわるときのほうが多く、ムリな体勢を取ることによっておこります。

特に下肢の傷害が多くみられますが、手を突いて防御することによる上肢の傷害も発生します。

よくみられる傷害については、肩関節(亜)脱臼・鎖骨骨折・半月板損傷・前十字靭帯損傷などがあります。


★肩関節(亜)脱臼

上腕骨と肩甲骨をつなぐ肩甲上腕関節(いわゆる肩関節と呼ばれる部分)は実に様々な動きをすることができます。

それは同時に肩関節の不安定性を持ち合わせています。投球動作など腕が肩より上方にあがり、振りかぶった姿勢のときが関節力学的に弱い肢位(しい)とされ、そのときに大きな力やストレスが肩にかかることで脱臼することがあります。

そのほとんどは上腕骨が前方にズレる前方脱臼といわれるものです。

脱臼は完全に関節の接地面がズレた状態、亜脱臼とは一部関節の接地面が残っている状態をいいます。

亜脱臼の場合は肩の位置が通常と変わらないように見えますが、少しでも動かそうとすると痛みを伴います。

脱臼の場合は異常に肩が落ちた状態が見られます。

このような傾向がみられたらただちにアイシングと圧迫を実施し、バンテージなどで固定をしてすぐに医師の診察を受けるようにしましょう。

一度肩関節の脱臼を起こすと8割以上が再発するといわれており、関節が不安定になっていくとされています。

保存的には安静とローテーターカフを含めた肩関節周囲筋群の強化をおこなうようにします。

重度の場合は手術療法をおこなうこともあります。


★鎖骨骨折

鎖骨骨折は肩でもっとも多発する骨折です。

骨への直接打撃によっても起こりますが、実際は転倒して腕や肩から力が鎖骨へと伝達されて起こることがほとんどです。

鎖骨骨折は介達外力(かいたつがいりょく:外力が加わった部位から離れた部位に骨折が生じるもの)による骨折の代表的なものです。コンタクトスポーツ(ぶつかり合いのあるスポーツ)や転倒する可能性のある動作(スキー、スケートなど)をする選手によく見られます。

骨折部での強い痛みと腫れ、圧痛などが見られ、動きによっては骨折端どうしがこすれあって生じるガリガリという感覚(礫音)が起こることもあります。

また選手は肩甲帯にかかる力を軽減するために患側(ケガをしている側)の腕を抱きかかえるようにしています。

このような症状が見られたら上肢をバンテージなどで固定し、アイシングをしながらすみやかに医療機関に搬送して医師の診察を受けるようにしましょう。

痛みがなくなった頃から少しずつ可動域を戻すリハビリテーションを行うようにします。

4〜6週間後、しっかり骨が癒合したかどうかをレントゲン撮影で確認し、その後競技復帰するようにしましょう。

しっかり骨癒合されていないまま復帰すると再骨折する可能性があります。


★半月板損傷

半月板は膝関節内にある組織で、大腿骨と脛骨(けいこつ:すねの骨)の安定性を与え、膝関節にかかる体重負荷を吸収分散するクッションの働きをします。

半月板が損傷されると円滑な膝の動きが妨げられます。

半月板損傷の特有の症状として、膝のロッキング(引っかかり現象:円滑な膝の動きが損なわれた状態)があらわれます。

完全伸展あるいは屈曲(膝の曲げ伸ばし)ができず、激しい痛みが伴い、弾発音(クリック)とともに動きが回復する場合はその典型的なものです。サッカー、バスケットボール、バレーボール、テニス、野球などの受傷が多くみられます。

損傷部位によってはギプスや縫合手術で治ることもありますが、それ以外では半月板の切除手術が必要となります。 


★有痛性分裂膝蓋骨

膝蓋骨の一部が分離し、離開がみられるものを分裂膝蓋骨といいます。特に膝蓋骨の上外側にみられることが多く、半数は無症状です。

しかし痛みのあるものは有痛性分裂膝蓋骨(ゆうつうせいぶんれつしつがいこつ)といい特に激しいスポーツや運動中または運動後に膝関節痛を起こします。

分裂膝蓋骨は男女ともにみられますが、痛みを訴えるものの多くは男性にみられます。

痛みが出た場合はRICE処置を行い、しばらく練習量を減らしたり、安静にすることで症状は軽減することが多いです。

また大腿四頭筋は膝蓋骨に付着しているのでこの筋肉のストレッチを行うことも有効です。

しかし分裂膝蓋骨と母床(膝蓋骨の本体)との境目の部分に圧痛が続く場合には、手術によって分裂膝蓋骨を摘出することが必要となります。

手術後はしばらくは激しい運動は控えるようにし、徐々にリハビリを行いながら競技復帰を目指します。

およそ2〜3ヶ月ぐらいが目安となるでしょう。


★前十字靭帯損傷

前十字靭帯は膝内部にある靭帯で、主に脛骨(けいこつ)が内旋(ないせん:内側ひねり)しながら前方にいきすぎないように抑制する働きがあります。

この靭帯が断裂、損傷すると脛骨は前内方へ亜脱臼し、膝関節の安定性は損なわれることになります。

他競技ではサッカー、バレーボール、バスケットボール、スキー、野球などで受傷することが多く、受傷時には靭帯の切れる鈍い音を感じることがあります。

その後数時間すると膝関節が腫れ、膝の中に血がたまることもあります。  膝関節の外傷の場合は前十字靭帯損傷を念頭に置いた上で、すみやかにRICE処置を行い、医療機関で診察を受けるようにします。

ケガの急性期(受傷から48時間以内)を過ぎてスポーツ活動に復帰すると、膝くずれを起こし、二次的に半月板や軟骨に損傷が及ぶことがあります。

受傷後もスポーツ活動を続けたい場合は、前十字靭帯の再建手術(靭帯を作り直す手術)が必要になることが多いようです。 再建手術には膝蓋骨についている膝蓋靭帯を使用する方法(BTB法)とハムストリングス(ふとももの裏の筋肉)の半腱様筋(はんけんようきん)を使用する方法(ST法)、人工靭帯を使用する方法などがあり、それぞれに長所と短所がありますので医師と相談の上手術法を選択することになります。手術後は再建した靭帯が緩まないように最善の注意を払いながらリハビリを行い、個人差はありますが約半年から8ヶ月程度で競技復帰することが可能となります。

以上が柔道でよくみられる代表的なスポーツ傷害です。

武道は元来、人間を殺傷する技です。

スポーツとして体系化されルールにのっとって行われているとはいえ、身体へのダメージは他競技と比較しても大きなものとなります。

普段の稽古による鍛錬はもちろんのこと、きっちりとしたケアをおこなわずに競技を続けると、身体に故障を起こすのは明らかです。

武道系の選手は、武道をしているのだから、少々痛いのは当たり前と考える傾向があります。

たしかに、ちょっとした打ち身程度なら放置しても大丈夫でしょうが、大きな障害につながる可能性のある痛みが潜んでいることもあります。

根性も大切ですが、身体が壊れてしまっては元も子もないので、無理をせず早めに治療に来ていただきますようお願いいたします。