野球肩の痛みの出方は非常に様々です。
今回はそんな中でも、肩の関節上側が痛む野球肩
「腱板損傷」「腱板断裂」についてお話致します。
※野球肩の大まかな説明はこちらからどうぞ
「腱板」について
腱板(けんばん)という言葉をご存知でしょうか?
腱板というのは、4つの筋肉の腱が集まっている部分の事を言い、
4つの筋肉とは、
1、棘上筋
2、棘下筋
3、小円筋
4、肩甲下筋
を表します。これらの筋肉は総称して「肩のインナーマッスル」とも呼ばれています。
これらの筋肉群は主に肩関節の安定に働く筋肉群で、
具体的に言えば、上腕骨という骨を肩甲骨に引き寄せるという役割を行います。
上記写真のように人差し指で腕の骨(上腕骨)を引っ張るような状態でインナーマッスル(棘上筋)は機能します。
またインナーマッスルと対称的な役割を行う「アウターマッスル」という筋肉も存在します。
この「アウターマッスル」はインナーマッスルが上腕骨を身体側に引き寄せるような効果に対し
上腕骨を身体から離すような力を加えやすく(厳密には少し意味が異なります)
インナーマッスルとアウターマッスルのバランスが良い状態に保たれていることで
肩関節の健康状態の維持となるのです。
このバランスが、
「インナーマッスル」<「アウターマッスル」というバランスに偏る事で
肩を傷めるということが起きやすくなるのです。
腱板損傷、腱板断裂について
腱板損傷、断裂は文字通り、腱板(特に末端部)が損傷したり断裂する事です。
ここで言う腱板は「棘上筋(きょくじょうきん)」という筋肉を指します。
※左写真は棘上筋の走行
「棘上筋」は肩の関節で上側に存在している筋肉です。
今回お話する肩の上側の痛みは、この棘上筋が走行しているためこの辺りに痛みがでるという事になります。
いずれの場合においても見られる特徴的な症状として
・腕を上げた際の痛み(特に60°〜120°くらい)
・腕を上げたまま保持できない(ドロップアーム徴候)
が特徴的な症状となります。
発症の原因としては、先にも述べた「インナーマッスル」と「アウターマッスル」での筋バランスの乱れや、
野球の場合では、投球フォームの乱れによるものなどがあげられます。
先にあげた写真で筋肉の走行上で、トンネルをくぐるような形の場所がおわかりになるかと思います。
このトンネルをくぐる所で骨や関節にまつわる組織などで
「棘上筋」が挟み込みを受け(インピンジメント)それが繰り返されることで
この筋肉が損傷、または断裂という状態へ移行してしまうのです。
この腱板断裂が起きてしまった場合には、
自然治癒(切れた筋肉が元に戻る)することはできず、
野球を続けるという選択肢に至る場合は、
痛みや、不快感に対し、だましだまし続けるか、
手術という選択肢にいたるケースもあります。
どうしたらいいか?
まず何より予防する意識が非常に重要です!
この様な状態にならぬよう、
・投球フォームの改善
・インナーマッスルの強化
などの対策をあらかじめ施しておきましょう。
また、発症してしまった場合には、
手術を行わない対応として、
まず肩に負担のかかりにくい投球フォームの確立を行い、
痛みに対しては、痛みを極力出しにくい状態へと物理療法などを用い、
痛みの改善を目指します。
いずれにしても、状態次第と言えますので、
まずはお身体の状態をしっかりと把握する事が大事と言えます。
これら野球肩に関するお悩み、野球に関するお悩みがございましたら
当院までお気軽にご相談下さいね!