こんにちは。
今日はフットボーラーズアンクルという疾患についてです。
あまり聞きなれない名前かもしれませんが、名前からサッカー選手に多いケガだと想像がつくかと思います。
サッカーやラグビーなど急激な方向転換を行うスポーツでは
足関節の関節面に過度の負担をもたらします。
この刺激により足関節内に骨棘(骨のとげ)を生じることがあります。
また、骨や骨の表面を覆う骨膜は過剰な刺激や組織の損傷を受けると、
組織の修復機転が作用して骨を増殖します。
この修復機能により、損傷した部分を再生したり、あるいは再生しない組織(線維軟骨など)を補うことができるようになっていますが、
その増殖した骨の存在により、運動可動域が制限されたり、増殖骨の刺激により痛みが起こったりすることもあります。
この関節内の骨増殖により起こる障害をまたはフットボーラーズアンクルまたは衝突性外骨腫といいます。
この衝突性外骨腫は、足関節捻挫などの関節損傷の結果、足関節が不安定になった場合も発症することがあります。
足関節捻挫では、足関節の安定性を確保する靱帯が損傷し、靱帯が断裂したまま再生されない場合や、再生されても靱帯が伸びた状態で癒着すると、関節の安定性が失われて運動や歩行などの際に関節が異常な動揺を起こすことがあります。
この関節動揺により脛骨の関節面と距骨の関節面が互いに衝突し、関節面を傷つけてしまいます。
傷ついた関節面には修復反応により骨が増生され、やがて骨棘などを形成するわけです。
症状
足関節の圧痛や運動痛、可動域制限がみられ、
関節内遊離骨片(剥離した骨が癒合せずに関節内に残存した状態)が存在すると
嵌頓症状 (異物が関節内に挟まった感覚)を訴えることもあります。
症状が重い場合は、骨棘の衝突によって可動域が制限され、
足首の背屈や底屈ができなくなることもあります。
さらに、骨棘が骨折した場合は、関節遊離体(関節ねずみ)となって足関節の中をあちらこちらと移動するため、関節のすき間に挟まって激しい痛みを起こしたり、足関節の運動が不能となることもあります。
治療と予後
サポーターやテーピングあるいはその他の装具による固定で関節を安定させることが大切です。
運動時の支障が大きい場合やスポーツ種目によっては整形外科による 遊離骨片や骨棘の除去手術を行うこともあります。
関節可動域の制限が残存しますが、予後は比較的良好で、骨棘が存在しても日常動作に支障が無い場合が多く、また運動時においてもサポーターやテーピングで関節を固定すれば問題無いことがほとんどです。
骨棘は反復による刺激により、関節包や周囲の筋群の過剰緊張が影響するので、その関節包や筋群(特に腓骨筋群)を正常に戻すと骨棘は吸収されていくこととなります。
当院で使っている治療器は筋力トレーニング効果もあるので、再発防止にもなります。
サッカー以外にも、ラクビーやバスケットボールでも発症するケースが多いこのフットボーラーズアンクル。
それだけにスポーツが好きな人にとっては注意すべき疾患となるでしょう。
無理をしたり、放置したりして症状を悪化させないためにも、早めにご相談ください。