こんにちは
今日は膝に水がたまる関節水腫について説明します
関節水腫が疑われる症状
膝の痛みや、それに関連する症状として、
以下のような特徴が見られる場合は関節水腫が発症している可能性があります。
- 膝の腫れや痛み、ひざのだるさを感じる
- 膝の皿を押した時にプヨプヨと浮いているような感じがしたり、何か入っているような異物感がある
- 突然ひざに激痛が走る
膝関節に水(関節液)がたまると、膝がはれて熱をもつこともあります。
痛みの強さは人それぞれですが、
階段を登ったり膝をひねった時などに大変強い痛みを感じるケースも多く見うけられます。
膝の表面が柔らかくなり、膝の皿の形がわかりにくくなります。
水が溜まったまま放置すると、関節内の圧力が高まって、
膝を一定以上曲げ伸ばしできない「可動域制限」が見られたり、
関節包の肥大や靭帯の緩みで膝がぐらつきやすくなります。
【ひざに水がたまっているかチェックする方法】
- 一方の手で、膝の上部を膝のお皿の方に向かって押さえる
- もう一方の手で、膝のお皿を上から軽く押す。何か入っているような異物感があれば、水(関節液)や血液がたまっている可能性がある。
関節水腫とは/特徴と原因
関節水腫とは、関節内にある「関節液(滑液)」の量が異常に増えてたまってしまう病状で、
いわゆる"膝に水がたまる"状態のことをいいます。
【ひざに水がたまる仕組み】
関節内には通常「関節液(別名:滑液)」と呼ばれる少量の液体が存在しています。
無職透明で粘り気があり、
関節がスムーズに動くのを助ける潤滑油のような働きをして、
関節に滑らかさと弾力性を与えたり、
関節の軟骨に栄養を与える働きをしています。
関節液は、関節内の滑膜(かつまく)という部分で作られていて、
滑膜は新しい関節液を作りながら、古い関節液を吸収しており、
通常、関節液の量のバランスは一定に保たれています。
ところが、様々な原因により滑膜組織に炎症が起こると、
滑膜から関節液が過剰に分泌されます。
この結果ひざの水(関節液)が多くなり、お皿の上部に水が溜まります。
水がたまるほど、関節内部の圧力が上がり、関節が不安定になります。
また、痛みのために筋肉が緊張して血行が悪くなり、
関節内の異物や化学物質の排出が妨げられます。
こうした変化が滑膜を刺激して、更に関節液の分泌を促進するという悪循環に陥ります。
【炎症の原因】
滑膜が炎症を起こすのは、膝関節内の軟骨や骨がすり減った「カス」や、
骨の表面からはがれおちた「かけら」が関節包を刺激することが主な原因です。
炎症が起きると、関節包から「サイトカイン」という炎症を強める化学物質が放出されるため、
炎症がさらに悪化して痛みを生じさせます。
骨・軟骨の劣化やすり減りを生じさせる要因には以下のようなものがあります。
- 加齢に伴う骨の劣化
→歳をとって長くひざを使っているほど、タイヤのゴムがすり減るように、膝関節の軟骨もすり減っていきます。また軟骨自体も柔軟性を失い固くなっていくため、衝撃によって摩耗しやすくなります
- 膝関節の骨軟骨の破壊や変形を生じる病気・疾患
→膝に水がたまる原因の大半は、中高年に多く見られる「変形性関節症」と言われています。他にも、全身の関節に炎症が起こる「関節リウマチ」や「痛風」などがあります。
- 運動中のケガや事故による外傷・骨折
→膝に大きな衝撃が加わることで軟骨や骨が欠けたりはがれたりすることがあります(剥離骨折)。スポーツの練習において、ひじやひざに負担をかけつづけた時にも「関節ネズミ」など骨の破壊が見られるスポーツ障害が発生します。
【血液がたまるケースも】
膝に水(関節液)の代わりに血がたまるケースもあります。
膝の怪我が原因のことが多く、「半月板損傷」や「靭帯損傷」など、
膝まわりの組織や器官が傷ついて内出血した場合に、
その血が関節内にたまります。
血友病などでも見られます。
【液体の成分を調べて痛みの原因を特定】
正常時、関節液は無色透明ですが、
原因となっている病気や障害によって色や成分が変わるため、
これを調べることによってある程度疾患を推測することができます。
- 黄色で透明 → 変形性膝関節症など
- 黄色で濁りがある(混濁) → 関節リウマチ、痛風、偽痛風など
- 白く濁りがある → 化膿性関節炎
- 血液 → 半月板損傷、靭帯損傷、関節包損傷などの「ひざのケガ」「外傷性の関節炎」
- 油の混じった血液 → 関節内骨折(膝蓋骨折など)
関節水腫の診断・治療・予防
【診断】
膝の腫れや痛みなどの症状と、
膝の皿周辺を触る触診によってある程度水がたまっていることは分かります。
【治療・予防】
関節水腫の治療では、
「@関節内の水を抜く」
「A水がたまる原因となっている炎症を抑える」
の2つを行います。
すでに述べたとおり、関節内に水が溜まっている状態は、
滑膜を刺激して更に水を増やし、
かつ炎症を悪化させる悪循環の元になっています。
従って、まずは溜まった水を取り除く処置をします。
具体的には膝に注射針を刺して関節液を抜く「関節穿刺(かんせつせんし)」を行います。
関節穿刺は整骨院では行えませんので、症状により必要な方は病院への紹介を行います。
膝の水をぬくとクセになる?
こんな話を聞いたことがあるかもしれませんが、
水が増える原因となっている「炎症」を抑えなければ、
何度水を抜いても再び水はたまります。
水抜きは一時的に炎症を抑えつつ症状悪化を防ぐためのものなので、
次に、再び水がたまるのを防ぐため、炎症を抑える処置を施します。
炎症が発生する原因は様々ですので、原因をつきとめ、
それぞれに合った治療法をとります。主なものを以下に挙げます。
- 薬物療法
非ステロイド系の消炎鎮痛剤(湿布、軟膏、クリーム等)、
ステロイド薬の注射などが中心になります。
内服薬、外用薬、座薬などがあり、患者の状態や症状の程度に合わせて使います。
それぞれ長所、短所がありますが、使用期間や量によって大小の副作用があるのが難点です。
副作用がなく効果も高い「ヒアルロン酸」の注射もよく行われます。
- 温熱療法・電気治療
膝を温めると、血流が良くなり関節の新陳代謝が活性化し、
痛みのもととなる物質が取り除かれやすくなります。
また、筋肉や関節のこわばりがとれて動かしやすくなります。
医療機関では、ホットパック、電気、超音波などで膝をじっくり温めます。
家庭でも入浴や蒸しタオル、温シップなどで温めると良いでしょう。
- 固定・サポーター
炎症を起こしている関節の負担を軽減し、
速やかに炎症が治まるように、テーピングや包帯・サポーターで
関節の固定をする場合もあります。
繰り返す膝の水腫にお悩みの方は、なるべくお早めにご来院ください