こんにちは、もう秋の行楽シーズンですね
ハイキングや登山などのアウトドアに出かける方も多いかと思います。
しかし、普段から山歩きなどに慣れていない方は、転倒して捻挫したり、骨折することも十分に考えられます。
今日は、安全にアウトドアを楽しんで頂けるよう、最低限覚えていてほしい、簡単な救急処置方法を書いていきます。
登山で最もよく起こりやすい足首のねんざ、ヒザ痛、転んだ時に手を突いて手首やヒジや肩を傷めた場合の対処法を説明しています。どの場合も、RICE(後述)を基本原則としてケガした部位を固定し、自力下山する場合は負担をかけないように歩く事が大事です。
この場合に注意したいことは以下のとおりです。
- 足の場合はトレッキングポールや木の枝を杖にして負担を軽くする
- 荷物は他のメンバーが分担して持つか、デポする
- 血が止まるくらいきつく固定・圧迫していないか
1. 足首を傷めた(ねんざ・骨折)
最も捻挫しやすいのは下山の時です。しかもガレ場で気を抜いたら転落しそうな場所ではなくて、ただただ単調に下っていく長ーい木の根道など。あと数時間歩いたらゴールという登山の最終段階などは、やはり疲労が溜まってくると足の置き方にも注意が散漫になり転倒も多くなってしまいますので気をつけたいところです。
ねんざは、靭帯や腱が伸びてしまったり一部切れてしまったりした状態です。足首を固定することでその後の下山の痛みを軽減することができます。
テーピングテープで足首の固定の仕方
テーピングテープはいろんな幅が売っていますが、とりあえず一本ザックに入れておくなら38mmあたりが使いやすいかなと思います。
足首をひねってしまって、なんとか歩けるけども歩くと痛い、という時に手軽な固定方法が上の動画です。
固定方法はたくさんやり方があるので、過去に部活で習ってやってきた方法などがあればそれを応用するのも良いと思います。要は傷めた部位をこれ以上動かさないことと適度な圧迫をすることが重要です。
そしてテープで固定した後は、靴ひもはいつもよりしっかりと締めて足首が動くことのないようにします。
テーピングテープを使ったことのない人は
また、テーピングテープを使ったこともない、というような方にオススメなのは「あしくびかんたん (スポーツ) 」という商品です。
だれでも簡単に貼ることが出来るように工夫されています。ひねった時だけでなく、マラソン大会の前等に足首に不安がある場合などにも保護・サポートの意味でも使用されています。
そして下山した後は患部を冷やすことと固定することが大事です。
軽いねんざであっても、1週間位はもんだりムリに動かしてはいけません。ムリに動かすと靭帯が緩んだままになり、治療が長びくだけでなくねんざぐせを残してしまいます。
靴の上から足首を固定する仕方
三角巾などで登山靴の上から足首を固定する方法で、靴を脱いだら腫れのためにまた履けなくなりそうな場合などに使います。
骨折が疑われるときなどは、さらに靴の上からかかとに副木を当て、より厳重に固定します。
2. ヒザが痛い
下山途中に着地した衝撃でヒザが痛くなった、ひねった、勢い余って岩にぶつけてしまった・・・。靭帯を傷めたり半月板を損傷したりと登山では最もダメージを受けやすい部位のひとつです。この場合もRICEを基本とし、自力下山する時はなるべく衝撃を加えないようにします。
ヒザを傷めた場合のテーピングテープによる固定(サポート)方法
- ヒザのお皿を両方から包むように、下からテープを貼る
- お皿を下から支えるように、一周する
ちょっと貼るだけでヒザへの負担がだいぶラクになります。
巻き直しが出来るテーピング
包帯的に巻き直しができ、手で切れるしテープ同士がくっつくので留め具も要らないので便利なテーピングです。
本格的なテーピングは必要ないけどちょっと心配、という時に手軽に巻けて便利です。伸縮があるので適度なサポートができるし、何回も使えるのが良い点です。
さらに、テーピングを巻くのに慣れていないという人にオススメなのが「ひざかんたん (スポーツ)」という商品です。 傷めてしまう前でも、膝の保護・サポートのためにも利用されています。
3. ヒザの骨折や脱臼が疑われるときの固定方法
おしりからカカトの下までを副木で覆って固定します。
4. 手首が痛い、肩(ウデの付け根)が痛い
雨ふりの木道で滑った拍子に体をかばって手を突いて手首を傷めた友人と、また同じように転んでも肩を痛めた友人がいました。ひねって筋を傷めたのか、骨折してしまったのかそれとも脱臼したのか、当事者であってもその時はわからないことでしょう。どの場合であっても、登山中では傷めた部位を固定して痛みを最小限に抑えつつ下山し、病院へ行くしかありませんが、ウデであれば固定しつつ冷やす事もできます。可能であれば冷やせたほうがベターです。
前腕(手首からヒジ)や手首を傷めた場合の固定方法
- 副木で手首からヒジまでをカバーする
- 包帯やテーピングテープで副木を固定する
- ウデが水平になるように、三角巾やバンダナ、タオルなどで首から吊る
- 別のヒモなどで胸に固定し、動かないようにする
吊るものを持っていない場合は、このようにTシャツをまくりあげて安全ピンなどで簡単に固定することができます。
ヒジを傷めた時の固定方法
ウデ全体を覆えるくらい長い副木を探し、ヒジ以外の上下を固定します。
肩(ウデの付け根)を傷めた時の固定方法
包帯などを使って、腕全体が動かないように上半身に巻きつけ、固定します。
5. 打撲・ねんざ・骨折の基本原則はRICE(ライス)
打撲・ねんざ・骨折は山で最も多い事故です。これらの応急処置の基本はRICEと呼ばれます。実際に山でこの通りに処置するのは難しい場合が多いですが、正しく行えば痛みと腫れを押さえ、治りも早くすることができるので覚えておきましょう。関節痛、肉離れの時も同様です。
[ R ] → Rest(安静)
ケガをした部位をそっとしておく。テーピングテープなどを使って固定する。
[ I ] → Icing(冷却)
冷やすことは痛みを軽減し、内出血を防ぎ、炎症を抑える。長時間行う必要があるので、山では宿泊予定地に雪渓や沢があった場合などしかできないかもしれない。時間は24〜48時間、休みながら行う。
[ C ] → Compression(圧迫)
圧迫することで、出血と腫れを防ぐ。弾力包帯、三角巾、テーピングテープなどを使用する。圧迫しすぎてしびれたり白くなったりしないよう、そうなったら一旦緩め元に戻ったら再び圧迫する。
[ E ] → Elevetion(拳上)
ケガしたところを心臓より高くすることで痛みや腫れを減らすことが出来る。休憩時などに行う。もちろん他のケガした部位に悪影響が出ない範囲で行う。
6. 副木に有効なもの
サムスプリント
副木専用の道具でサムスプリント という商品があります。
まわりはウレタンですが中にアルミが入っており自在に変形するのでどの部位にもフィットし充分な固定強度が得られるという商品です。ハサミでも切れます。コチラはジュニアサイズで、約46cm、65gです。なかなか値段も高いので全員が、という訳にはいかないと思いますが、メンバーの中に初心者や高齢者がいるパーティーのリーダーは持っていると良いでしょう。
他に副木に利用できるもの
- トレッキングポール
- ザックのフレーム
- 新聞紙
- 木の枝
などがあります。イメージしておくといざというときに役に立ちますね。
7. 捻挫・ひざ痛・骨折に有効な薬・道具
鎮痛剤はねんざなどの痛みの症状にも効きます。痛くて我慢できないようであれば服用しましょう。
その他有効な道具
- テーピングテープ(あしくびかんたん・ひざかんたん)
- 三角巾
- 副木(サムスプリント)
- トレッキングポール(歩行の支えに)
- 軍手(足腰を傷めた場合手で木や岩をなんでも掴んで下りる時に)
ケガなく安全に登山を楽しめることが最も良いのですが、自然相手のことですから不測の事態も起こり得ます。
以上のことを参考に、もしも急なケガなどが発生した場合は、慌てずに対処していただければと思います。
登山から帰られましたら、ケガの状態をなるべく早く診せて頂くようにも合わせてお願いいたします。