こんにちは
今週末は天気が良さそうですね
今日は成長期に多いスポーツ障害についてです。
ケガについてお話しする前に、まずは成長期の身体とはどのような状態なのか、少し触れていきたいと思います。
成長期の骨や関節の特徴
@骨が柔らかい | |
子どもの骨は柔らかく未熟で、成長とともに硬い骨に変わっていきます。 若木骨折(完全には折れない)、隆起骨折(竹の節のようにふくらむ)、急性塑性変形(骨が彎曲する)など、上半身の骨折や疲労骨折を起こしやすいです。 |
|
A骨端線がある | |
骨の先端近くに「骨端線」とよばれる軟骨があり、骨の成長を担っています。 柔らかく、衝撃に弱く傷つきやすいのが特徴です。 |
|
B靱帯が骨より強い | |
外から強い力がかかると、靱帯が骨を強く引っ張り、骨が折れてしまうことがあります。 |
|
C骨と筋肉の成長速度が違う | |
骨の成長が著しく、筋肉の発育が追いつかないことが多いです。 筋肉が未熟で力が弱く、柔軟性もあまりないので、スポーツなどでからだを使うと痛みがでやすいです。 |
|
D関節軟骨が柔らかい | |
関節軟骨が大人に比べ厚く柔らかく、傷つきやすいです。 同じ動作を繰り返すと、一部の関節に負担がかかり、関節軟骨が傷つき炎症を起こすことがあります。 |
|
E関節が柔らかい | |
関節が柔らかく不安定なため、スポーツの最中にケガや故障を起こしやすいです。 |
成長期の身体は、大人と比べてこのような特徴があります。
特徴を押さえた上で、本題の成長期のスポーツ障害について入っていきます。
スポーツ外傷とスポーツ障害
スポーツにまつわるケガは、大きく2つに分けて考えることができます。
一つは1回の外力で突然ケガをしてしまう「スポーツ外傷」と呼ばれるもの。
もう一つは運動による小さな外力や疲労などが積み重なったことで起こる「スポーツ障害」と呼ばれるものです。
スポーツ外傷はその場ですぐわかるため、応急処置等ケガへの対応をしやすいですが、スポーツ障害というのは日々の繰り返しで少しずつ発生する慢性的なケガであり、気づいたら痛みがひどくなっていた……ということにもなりかねません。
スポーツ障害に対しても、痛みなどに気づいたらなるべく早く対応することが必要なのです。
練習量の増える時期はスポーツ障害に注意!
スポーツ障害は繰り返しによる慢性的なストレスが原因となるため、使い過ぎ症候群(オーバーユース症候群)とも呼ばれます。
スポーツ障害はすぐに発生するわけではなく、時間の経過とともに痛みや違和感などを伴い、そこで初めて気がつくことが多いものです。
入部したての新入生がチーム練習に合流し、数カ月たった5月〜初夏にかけてはスポーツ障害の発生が多くなると言われています。
また夏休みや冬休みなどの期間も練習量が増えるため、注意が必要です。
初めに触れたように成長期は骨が縦方向に伸びて身長が高くなります。
しかし骨についている筋肉や腱は、骨に比べて成長がゆるやかなため、骨の成長スピードに追いつくことができずに、常に引っ張られた状態になってしまいます。
そこへ運動を繰り返し行い、疲労がたまってしまうと、筋肉や腱はさらに柔軟性を失ってしまい、牽引ストレスで痛みが発生してしまうのです。
特に中学生などに対して「ウエイトトレーニングを行うと身長が伸びない」ということを指摘する声もありますが、これは骨の成長に対して筋肉や腱がついていけずに痛みが発生することを理由にしているものだと考えられます。
この時期の中高生に対しては筋肉や腱の成長に合わせた適切なトレーニングを行う必要があります。
成長期に多いスポーツ障害
成長期のスポーツ障害は、主に下肢に多くみられます。
下肢に多くみられる理由としては体重が下肢にかかり、骨や関節へ負担がかかるためです。
上肢にもスポーツ障害はみられますが、頻度は下肢に比べると少なめです。
よくみられる成長期のスポーツ障害について解説します。
■ オスグッド病(脛骨粗面)
身長が著しく伸びる小学校高学年から中学、高校にかけての時期によく見られるスポーツ障害です。
太ももの骨の成長に筋肉や腱の成長が追いつかないため、膝下部分が常に筋肉や腱で引っ張られた緊張状態を作り出し、激しい動作や膝の曲げ伸ばしなどを繰り返すと痛みや腫れが起こります。
この状態が長く続くと膝下にポコッと腫れたもの(骨の隆起)が起こることがあります。
女子よりも男子により多く見られるケガです。
■ ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)
ジャンプを繰り返すスポーツ選手や長距離走などの選手によく見られるスポーツ障害です。
膝のお皿付近もしくはお皿の下あたりの靱帯が、繰り返しのジャンプ動作や太もも部分の筋肉疲労などによって炎症を起こし、痛みや腫れなどが起こります。
ランニングでは通常体重の2〜3倍の力が膝付近にかかるのですが、その重さを筋肉や靱帯が支えきれないことによって起こります。
■ シンスプリント
ランニングや練習量が増えると足の脛(すね)の内側あたりに痛みを伴うスポーツ障害です。
押すと痛みが出るのが特徴的で、この状態のまま練習を続けていると疲労骨折になる可能性があるので注意が必要です。
筋肉が疲労し、柔軟性が低下することによって、骨を覆っている骨膜が常に引っ張られた状態となって炎症を起こすと考えられています。
上記の各ケガについては過去のブログで詳しく触れていますので、そちらも見て頂ければと思います。
スポーツ障害の予防
これらのスポーツ障害を予防するためには、普段からのストレッチやマッサージなどで筋肉の柔軟性を高めておくことが大切です。
特に膝周辺部のケガには大腿四頭筋と呼ばれる太ももの前の筋肉を柔らかくしておくことが有効です。
ではご自身やお子さんの身体はどれぐらいの柔軟性があるのか、簡単にチェックしていきましょう。
柔軟性セルフチェック!
1.背中で手が結べますか?
背中で手と手がつかめると肩の柔軟性はかなり良いです。
左右どちらも比べて行ってみましょう
膝をまっすぐ伸ばして足首をつかんでみましょう。
長座の姿勢になり、膝を曲げないで足首をつかむように前に身体を倒します。
足首がつかめない場合は、腰背部およびハムストリングス(太ももの裏の筋肉)の柔軟性が低い傾向にあります。
3.肘がまっすぐ伸びますか?
腕をまっすぐ伸ばして手首を軽くそらせます。
片方の手でもう片方の手首を持ち、肘を伸ばします。
肘がまっすぐ伸びない場合は、手首を手前に曲げる筋肉群の柔軟性が低い傾向にあります。
肘関節を形成する骨の配列(アライメント)に問題がある場合もあります。
4.かかとがお尻につきますか?
うつぶせの状態になり同じ側の手で足を持って行います。
うつぶせの状態になって足がお尻につくかどうかをチェックします。
かかとがお尻につかない場合は、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の柔軟性が低い傾向にあります。
左右どちらとも行ってみましょう。
5.前屈して肘が床につきますか?
開脚した状態からゆっくりと身体を前に倒していきます。
脇をしめた状態で肘が床につかない場合は、ハムストリングスや内転筋などの柔軟性が低い傾向にあります。
痛みがある場合はムリをせず、できる範囲でチェックしましょう。
6.膝を伸ばして90°あげられますか?
仰向けになり、両手で足の膝裏を持つようにしてゆっくりとあげていきます。
床面から見て90°までいかない場合は、ハムストリングスや臀部(でんぶ:お尻のこと)の柔軟性が低い傾向といえます。
膝を曲げずにゆっくりと足をあげていきましょう。
いかがでしたか?
思ったより柔軟性が低いと感じた方も多いと思います。
しかし、ストレッチなどをコツコツとしていけば必ず改善していきます。
最後にストレッチのコツについて簡単に書いておきます。
柔軟性を高めるために覚えておきたいストレッチのコツ
2) 反動をつけず、ゆっくりと20秒〜30秒かけて行う
3) 息を吐きながら行う
4) 伸ばす筋肉を意識する
5) 継続して行う