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体操競技の選手に多いスポーツ傷害
2019/08/06
その他の痛み

こんにちは!

今日は体操競技の選手に多いスポーツ傷害について書いていきます。

体操競技は男子では6種目(ゆか・あん馬・吊り輪・跳馬・平行棒・鉄棒)、女子では4種目(ゆか・平均台・跳馬・段違い平行棒)あり、それぞれの種目特性があります。空中で持続的に演技を行うあん馬、吊り輪、鉄棒、平行棒は上肢に荷重関節と同じ程度の負荷がかかります。またすべての種目において跳躍・着地時に下肢と体幹に大きな負担がかかります。 四肢すべての関節において安定性と柔軟性が要求されるスポーツであり、体操競技特有の傷害もみられます。

以下に、体操競技でよく見られる傷害について説明していきます。

★半月板損傷

半月板は膝関節内にある組織で、大腿骨と脛骨(けいこつ:すねの骨)の安定性を与え、膝関節にかかる体重負荷を吸収分散するクッションの働きをします。半月板が損傷されると円滑な膝の動きが妨げられます。

半月板損傷の特有の症状として、膝のロッキング(引っかかり現象:円滑な膝の動きが損なわれた状態)があらわれます。完全伸展あるいは屈曲(膝の曲げ伸ばし)ができず、激しい痛みが伴い、弾発音(クリック)とともに動きが回復する場合はその典型的なものです。サッカー、バスケットボール、バレーボール、テニス、野球などの受傷が多くみられます。

損傷部位によってはギプスや縫合手術で治ることもありますが、それ以外では半月板の切除手術が必要となります。 

★前十字靭帯損傷

前十字靭帯は膝内部にある靭帯で、主に脛骨(けいこつ)が内旋(ないせん:内側ひねり)しながら前方にいきすぎないように抑制する働きがあります。この靭帯が断裂、損傷すると脛骨は前内方へ亜脱臼し、膝関節の安定性は損なわれることになります。

サッカー、バレーボール、バスケットボール、スキー、野球などで受傷することが多く、受傷時には靭帯の切れる鈍い音を感じることがあります。その後数時間すると膝関節が腫れ、膝の中に血がたまることもあります。

 膝関節の外傷の場合は前十字靭帯損傷を念頭に置いた上で、すみやかにRICE処置を行い、医療機関で診察を受けるようにします。ケガの急性期(受傷から48時間以内)を過ぎてスポーツ活動に復帰すると、膝くずれを起こし、二次的に半月板や軟骨に損傷が及ぶことがあります。受傷後もスポーツ活動を続けたい場合は、前十字靭帯の再建手術(靭帯を作り直す手術)が必要になることが多いようです。

再建手術には膝蓋骨についている膝蓋靭帯を使用する方法(BTB法)とハムストリングス(ふとももの裏の筋肉)の半腱様筋(はんけんようきん)を使用する方法(ST法)、人工靭帯を使用する方法などがあり、それぞれに長所と短所がありますので医師と相談の上手術法を選択することになります。

手術後は再建した靭帯が緩まないように最善の注意を払いながらリハビリを行い、個人差はありますが約半年から8ヶ月程度で競技復帰することが可能となります。

★三角繊維軟骨複合体(TFCC)損傷

三角線維軟骨複合体(TFCC)は、手関節の外側(小指側)の関節の靭帯や関節円板(クッション)などを総称した名称です。 この部位は転倒したときに手をついて損傷する外傷と、加齢に伴う使い傷みによって損傷することがあります。またグリップ動作で手関節を頻繁に使用することによる使いすぎでの損傷もあります。

手関節の腕の骨は親指側の橈骨(とうこつ)と小指側の尺骨(しゃっこつ)の2本がありますが、尺骨が橈骨より長い(小指側の腕の骨の方が長い)場合、TFCCを損傷しやすくなります。

外傷による軽度のTFCC損傷の場合は、しばらく安静をとり場合によってはギプス固定で経過観察する場合があります。しかし症状が慢性になった場合は関節造影剤などを注入して、関節鏡による手術が行われることもあります。小指側に手首を捻ると痛みが出る場合、痛みが継続する場合は早めに医療機関で診察を受けるようにしましょう。 

マレットフィンガー

マレットフィンガーとは指の先端に伸びている腱が完全に離れている状態のことを言います。槌指(つちゆび)とも呼ばれ、長指伸筋(ちょうししんきん)腱の断裂のことをさします。

このような状態にあると指の先端部の関節の痛みがあり、指をまっすぐに伸ばすことが出来ず、常に受傷した指は曲がった状態です。特にバレーボール、バスケットボール、野球などボールが指先に当たるようなスポーツに多く見られます。

受傷直後はRICE処置を行い、医療機関で診察を受けるようにします。そのまま放置しておくと半永久的な機能障害や痛み、変形などが残る可能性が高く、後に関節炎を引き起こすこともあります。

痛みや可動範囲の制限が重度であれば、指を固定しておきます。痛みが軽減してきたら可動域回復のためのリハビリテーションを行います。再受傷を避けるために痛みがある限りは隣の指と一緒にテープで固定する必要があるでしょう。

★舟状骨骨折

手関節の内側(母指側)にある舟状骨(しゅうじょうこつ)は腕を伸ばした状態で転倒したした場合などに見られます。舟状骨と隣接する橈骨(とうこつ:肘から手首にかけての骨、母指側)とが激しくぶつかることにより、舟状骨が二つに骨折してしまうのです。特に手の甲側を強制的に伸ばされた状態で起こります。転倒したときの他にコンタクト(衝突を伴う)スポーツや手をよく使う体操競技にもみられます。

手関節の母指側(解剖学的スナッフボックス)に痛みや圧痛があり、手関節の可動域制限がみられ、握力の低下や手関節の母指側に腫れがみられます。このような症状があればすぐに手関節と前腕部分を固定して医師の診察を受けるようにしましょう。

転位のない舟状骨骨折で3ヵ月、転位がある場合はもう少し時間がかかります。舟状骨は有鉤骨同様、血流の乏しい部位であり、早期診断、治療しなければ骨折した舟状骨の外側は壊死してしまうこともあります。

筋力と可動域が健側(ケガをしていない側)の手関節と同じになるまでは、スポーツをする際にはしっかりとした固定器具などを装着することが望ましいです。 

★手根管(しゅこんかん)症候群

手関節部にある手根管(しゅこんかん)とは、手関節掌側にある手根骨と横手根靭帯とからなるトンネルのことをさし、手関節の使いすぎによってこの手根管が圧迫され、そこを通る正中神経を圧迫する障害です。 最もよくみられる症状は母指、示指、中指、薬指の半分(母指側)のしびれ感やうずくような痛みです。

正中神経と尺骨神経支配がこの部分でわかれているため、しびれ感の領域がはっきりしない場合は、手根管ではないもっと上肢における神経障害を疑う必要があります。手根管症候群の場合、夜中に痛みが出るのもその特徴の一つです。

痛みがある場合はRICE処置を行い、原因となる手関節運動をしばらく中止して、痛みの軽減をはかります。また医療機関で診察を受け、神経障害緩和に効果があるとされるビタミンB12などを処方してもらうこともあります。

しばらく様子をみていても症状が軽減しないようであれば、手根管開放術などの手術を行う場合もあります。

★肘関節脱臼

コンタクトスポーツや転倒の可能性のあるスポーツによく見られ、過度に肘関節を伸ばした際に強い圧迫力が加わると肘関節が脱臼することがあります。肘の脱臼の場合は前腕や手の骨折を伴うこともあり、その点に留意することが必要です。 肘関節脱臼が起こると、関節の変形、強い痛みや腫れや動きの制限などが見られます。

このような状態が見られるときは、ただちに医療機関に搬送して整復処置を受ける必要があります。それまでは肘を体幹に動かないように固定し、患部を約20分ほどアイシングをするようにします。

肘の靭帯損傷の程度によって手術をする必要があります。

たいていは安静と保護のため脱臼した肘を三角巾かスプリントで固定します。

脱臼した骨が容易に外れないようであれば、可動域改善のためのリハビリテーションを行い、その後筋力トレーニングへと移行していきます。この際は必ず専門家の指導のもと行うようにしましょう。 

★尺骨神経炎

肘の後ろ側から小指にかけて通っている尺骨神経(しゃっこつしんけい)が肘の繰り返しの動作によって引き伸ばされ炎症をおこすことがあります。投球動作やラケット、ゴルフクラブなどを持って反復動作を行う人に多く見られます。

はじめは激しい運動の後に肘の内側に違和感を覚えたり、痛みが起こったりします。

そのまま放置しておくと痛みは強くなり、前腕から薬指、小指にかけてしびれが起こったり握力の低下が見られたりします。尺骨神経炎が慢性化してくると神経機能が停止し、前腕、手関節、手の多くの機能に障害をもたらします。

早期に発見した場合はただちに運動を休み、安静を取るようにします。2週間以上安静をとっても症状が軽減しない場合は、尺骨神経が神経溝からはずれている(脱臼)ことが考えられます。

この場合は手術によって元の位置に戻すことが必要となります。

以上が体操競技において頻繁に起こるスポーツ傷害です。

治療せずに放置すれば、選手生命に関わる恐れもありますので、もしご自身に当てはまるような症状がありましたら、できるだけ早めの治療をお願いいたします。


大阪市東住吉区にあるスポーツ専門治療院
針中野フィジカルケア鍼灸整骨院

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