こんにちは!
今日はテニス選手に多いスポーツ傷害について書いていきます。
テニスはラケットを使用し、サーブ、スマッシュ、ボレーなどの動きを行うことによってボールをコントロールします。
利き手側の上肢、また腰部などに一定の動作を繰り返すことによる慢性障害がみられます。
またスピードが要求されるため、下肢への負担も大きくなり外傷や障害をおこすことがあります。 よくみられる傷害については、腰椎分離症、肩インピンジメント症候群、テニス肘、三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷、足関節捻挫などがあります。
★腰椎分離症・すべり症
中・高校生のスポーツ選手の約一割が腰椎分離症であるともいわれており、練習時間が長ければ長いほど、またスポーツレベルが高ければ高いほど頻度は増します。
椎間関節の骨の連続性が断たれた状態です。
これは腰椎部分の疲労骨折が原因となっていることが多く、ほとんどが第5腰椎に起こります。
腰痛を訴えますが鈍痛で、下肢痛はみられません。
椎間分離部分に異常可動域が認められ、とくに背中の後屈で痛みが出ます。
このうち発生初期に腰部の安静が保たれた状態では、分離部は癒合しますが、早期に腰痛が軽減してしまうために医療機関で発見されることが少なくそのまま経過してしまうことが多いようです。 予防・リハビリとしては、腰椎周辺の諸筋肉のリラクゼーションを目的に、背筋群、ハムストリングスのストレッチングを中心とした軽い柔軟体操が効果的です。
中学1〜2年生までは約3ヶ月のコルセットの装着で治ることもあります。
腰椎分離すべり症は、分離した部分から上位の椎間が前方にすべる状態のことをいい、この場合は腰痛発症の頻度が高くなりますが、適応のある運動療法で腰痛は軽減します。
★インピンジメント症候群
インピンジメント(衝突)症候群とは、肩関節の内部組織の慢性的な障害や外傷のことをいいます。
肩関節をとりまく筋肉には三角筋や上腕二頭筋など外側についている筋肉のほかにローテーターカフ(日本語では腱板:けんばん)と呼ばれる小さな筋肉が多く内部に存在しています。
このローテーターカフが骨との間に挟まった状態になると、腕の付け根あたりに痛みを伴うようになります。
水泳や野球の投球動作など肩を水平面以上に上げた状態で過度に使用したり、機能学的に不安定な動作を繰り返すとインピンジメントがおこることがあります。
このような傾向が見られたらまず肩の使用を極力減らすようにして、アイシングをすることが大切です。
痛みが軽減してきたら使用する前のウォームアップを十分に行って筋肉をあたためること、ストレッチを徹底し柔軟性の高めることなど効果的です。
同時にチューブなどを使ってローテーターカフエクササイズのトレーニングをおこない、再発防止につとめるようにしましょう。
★テニス肘
テニスのバックハンドおよびフォアハンドのストロークで肘関節に痛みを生じる場合のことをいいます。
日常生活においてはドアのノブを回すとき、タオルを絞るときなどに同様の痛みが生じます。
発生のメカニズムは、バックハンドの場合は手関節を背屈(後ろに反らせる)する筋肉、フォアハンドの場合は手関節を掌屈する(手のひら側に曲げる)筋肉の骨との接合部位の炎症、筋肉の線維の部分的断裂、および筋肉の使いすぎによる疲労などが原因とされています。
バックハンドのときの痛みは肘関節の外側に、フォアハンドのときの痛みは肘関節の内側に起こります。
受傷直後は痛みを起こす動作は避け、何もしなくても痛みがひどい場合はアイシングをします。
痛みがなくなった時点では温熱療法に切り替えます。
またストレッチングや筋力強化をはかり、筋や腱の柔軟性を回復するようにします。
スポーツ活動に復帰する場合はしばらくの間はエルボーバンドなどを使用して、肘の保護に努めるようにしましょう。
★三角繊維軟骨複合体(TFCC)損傷
三角線維軟骨複合体(TFCC)は、手関節の外側(小指側)の関節の靭帯や関節円板(クッション)などを総称した名称です。 この部位は転倒したときに手をついて損傷する外傷と、加齢に伴う使い傷みによって損傷することがあります。
またグリップ動作で手関節を頻繁に使用することによる使いすぎでの損傷もあります。
手関節の腕の骨は親指側の橈骨(とうこつ)と小指側の尺骨(しゃっこつ)の2本がありますが、尺骨が橈骨より長い(小指側の腕の骨の方が長い)場合、TFCCを損傷しやすくなります。
外傷による軽度のTFCC損傷の場合は、しばらく安静をとり場合によってはギプス固定で経過観察する場合があります。
しかし症状が慢性になった場合は関節造影剤などを注入して、関節鏡による手術が行われることもあります。
小指側に手首を捻ると痛みが出る場合、痛みが継続する場合は早めに医療機関で診察を受けるようにしましょう。
★足関節捻挫
スポーツ外傷の中で最も多いケガの一つです。
足部の「内側ひねり」による内反(ないはん)捻挫と、足部の「外側ひねり」による外反(がいはん)捻挫があります。
圧倒的に内反捻挫が多く、この場合は外側くるぶし周囲の靭帯の損傷(この場合は靭帯が引き伸ばされること)であり、逆に外反捻挫では内側くるぶし周囲の靭帯の損傷となります。
症状としては痛み、腫れ、運動痛などがあり、関節の可動域(本来動かすことのできる関節の角度範囲)の異常などが見られます。
初期治療にはRICE処置(「ケガの応急処置」にて解説)が効果的です。
痛みのなくなった段階でのリハビリテーションとして筋力強化(つま先立ち、かかと立ち)などが効果的ですが、これは足関節捻挫の予防にもなります。関節の不安定性(グラグラする)が強い場合は手術をすることもあります。
痛みの早期除去や、競技復帰、故障の予防については、お気軽にご相談ください。