今日は
膝の内側に痛みが出た場合の症状の話をします!
「タナ」について
膝の関節の内部には、関節腔(かんせつこう)という空間があり、
その空間は滑膜ヒダという膜のような壁で仕切られています。
そのうち膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨(太ももの骨)の間のヒダは、
ものをのせる棚(たな)のように見えるため、タナと呼ばれています。
滑膜ヒダは、母親の体内にいる胎児期に一時的に作られるもので、
胎児の約半数は産まれた後もそのまま残ります。
特に何の機能も持たない組織であるため、切除しても問題ありません。
タナ障害は、膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、
タナが膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨の間に挟まり、
大腿骨の下端の膨らんだ部分とこすれて炎症を起こして
腫れや痛みが出る症状です。
膝の屈伸と打撲を伴うスポーツ種目によく見られます。
また、体質的にタナに厚みがあったり大きかったりする人は、
膝を酷使した状態(オーバーユース)で膝を強打したりすると、
症状が現れやすくなります。特に太ももの筋肉が疲労していると、
筋肉が緊張しているため、タナの摩擦が強くなり、症状が出やすくなります。
患者は10〜20歳代の若い人に多く、男性よりも女性の割合が高いです。
【タナ障害が発症しやすいスポーツ】
野球、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、陸上競技など
タナ障害の診断・治療・予防
【診断】
痛みのある箇所や、膝を動かした時の音からタナ障害が疑われる場合、
MRI検査の画像診断でタナの存在を確認して最終診断を下します。
タナ障害を見つける簡易な方法として、
膝の皿の内側に親指を当てた状態で膝の曲げ伸ばしをします。
この時コキコキ、ポキポキといった音がすればタナ障害の可能性が大きいです。
【治療】
軽症の場合は、運動量を抑えたり、運動後に患部を冷やすアイシングや、
炎症を抑えるシップなどの消炎鎮痛剤、太ももの筋肉のストレッチングをしたりして対処します。
大抵の場合は、激しい運動を控えて安静を保っていれば、
徐々に炎症が治まって2ヶ月前後で治ります。
繰り返し痛みが生じたり、数か月にわたって痛みが引かないなど重症の場合は
痛み止めの注射をしたり、関節鏡(関節内に挿入する内視鏡)による
手術「関節鏡視下郭清術」でタナを切除することもあります。
【予防策】
予防として有効なのは、膝周りの筋力を鍛えるトレーニングや
柔軟性を高めるストレッチングを行うことです。
タナの摩擦が弱まり、炎症が起きにくくなります。
また、患部の冷えは炎症を引き起こしやすく、
悪化させる要因ともなるため、常日頃から
膝を冷やさないように注意しましょう。
カイロ、入浴、ひざ用のサポーターなどの装着など(温熱療法)で対応できます。
こういう症状がある場合
早めの治療をおススメします!